『博報堂のすごい打ち合わせ』レビュー 20冊目:ビジネスNo.16
『博報堂のすごい打ち合わせ』
著:博報堂ブランド・イノベーションデザイン局
こんにちは、masamariです。
今回は、『博報堂のすごい打ち合わせ』をご紹介します。
◾️「会議」と「打ち合わせ」は違う
一般的に、「会議」と「打ち合わせ」は似たような意味で用いられます。
どちらも、「人が集まって話し合いをする」ことに変わりはありません。
しかし、博報堂では「会議」と「打ち合わせ」は違うものと考えられており、次のように区別されています。
☆会議
●情報の共有(報告、連絡、相談)のために行われる
●司会役の議事進行(アジェンダ)のもと、一方通行で形式的に進んでいく
☆打ち合わせ
●考えやアイデアを出し合い、積み上げていくために行われる
●参加者全員が自発的・相互的に意見を出し合いながら(ブレインストリーミング)、ひとつの答えを出す
情報を伝達・共有する会議も、組織を円滑に進めるためには欠かせませんが、会議にどれほど時間を費やしても、新しい発想は生まれません。
そのため博報堂では、組織運営に必要な「会議」以外は、考えやアイデアを出し合って意見をぶつけ合う「打ち合わせ」になることが望ましいと考えられています。
◾️新しい発想は「頭の中」ではなく「会話の中」から生まれる
一般的には、「アイデアは、個人が生み出すもの」と理解されている。
しかし博報堂では、
「アイデアは、人ではなく会話に宿る」
と考えられています。
会話から新しい発想を生み出すといっても、博報堂の社員はアイデア出しに関して他人任せにしているわけではありません。
打ち合わせから新しい発想を生み出すためには、事前に個々のメンバーがアイデアをとことん考え抜いてくることが大前提となっています。
そして、博報堂の社員は、「自分が考えたアイデアは、想定内のアイデアである。自分の頭の中からすぐに引き出せる考えが、想定外の発想のはずがない」という前提で打ち合わせに臨んでいるそうです。
「想定外の発想」を出すためにも、打ち合わせで話し合っているのですね。
「ひとりで考えるよりも、何人かで集まった方が良い知恵を生み出せる」という共通認識が博報堂にはあるのです。
またA〜C案がについて打ち合わせをするとした場合、どれかの案を決めようとすると打ち合わせの場が、勝ち負けを決める「競争」になってしまいます。
しかし、博報堂が最終的に求めている結論は、A〜C案ではなく、想定外の「D案」であり「E案」です。
そのためにも、打ち合わせを「競争」の場ではなく、「共創」の場として位置付けることが重要となってきます。
◾️生産性を上げるために雑談をする
博報堂の打ち合わせは、50%が雑談で出来ているそうです。
仕事の効率化の観点から見ると、業務に直接関係のない時間は極力削ることが望ましいため、打ち合わせ中の雑談は減らしていくべきと考えられます。
雑談を減らせば、打ち合わせの時間も短くて済みますし、普段の業務に時間が割けられますからね。
しかし、博報堂では打ち合わせにおける50%の雑談は必要不可欠なのです。
むしろ、雑談は生産性を上げるために絶対に欠かすことのできないものだと考えられています。
◾️おわりに
博報堂の打ち合わせで雑談が欠かせないのには理由があります。
それは、打ち合わせ中に行われている会話には「しくみ」があって、打ち合わせでの雑談は、その会話の「しくみ」の中から生まれているものだからなのです。
本書では、そのら「しくみ」について説明されています。
素晴らしい(想定外の)アイデアが生み出されるのも、この「しくみ」があってこそなんですね。