『コンサルを超える問題解決と価値創造の全技法』レビュー 21冊目:ビジネスNo.17
『コンサルを超える問題解決と価値創造の全技法』
著:名和高司
こんにちは、masamariです。
今回は、名和高司さんの『コンサルを超える問題解決と価値創造の全技法』をご紹介します。
◾️問題解決とは?
「問題解決」は、ビジネススクールでは教えられていません。
例えばスタンフォードのビジネススクールでは、「クリティカル・シンキング」と「ロジカル・シンキング」については教えられていますが、それが出来るようになったからといって、「問題解決ができる」というわけではないのです。
クリティカル・シンキングもロジカル・シンキングも、頭の使い方に過ぎないからです。
「問題解決」とは、いわゆる総合芸術のようなものなのです。
技術のひとつやふたつ極めたからといって、プロとして通用するわけではありません。
◾️「問題解決」の2大要素
問題解決には様々な要素があって、様々な能力が求められますが、大きくは「分析力」と「構築力」に別けられます。
徹底的に分析し尽くすというのが、問題解決の重要な要素になります。
丸ごとでは処理できない問題を、要素分解していくことにより、問題の本質に迫っていくのです。
しかし、問題の本質をロジカルに証明するだけでは何の解決にもなりません。
問題の本質がわかったとしても、それを解決するためには、別のストーリーが必要になってきます。
そこで重要になってくるのが「構築力」です。
◾️真理より心理
分析によって、問題がある程度特定でき、それを解消する方法を決定したとして、最も重要なのは「実行」の段階です。
この段階での最大の障害は、極めて人間的なものです。
何かを変えようとすれば必ず、自分たちが今やっていることを否定されたと感じてしまい、反発する人が出てきます。
全員が力を合わせて、現状を打破しようという意思を持つためのストーリーが不可欠となってくるのです。
何をどういう順番で解いていったらいいか、誰をどういう役割で巻き込むべきかなどを構想する「構築力」が必要となります。
そして、そこで用いるのはロジックよりも心理学です。
もっとも正しい答えを出すことではなくて、答えを当事者たちに信じさせ、実行させることが重要になってきます。
正しい答えであっても、当事者が「できない」と思ってしまったらそこで終わってしまいます。
いくら遠回りだったとしても、当事者に「これならできる」と思ってもらえれば次に進めるのです。
◾️そもそもの「課題設定」が勝敗の分かれ道
問題解決は、たいてい以下の順に行われます。
ステップ1:問題を定義する
↓
ステップ2:問題を構造化する
↓
ステップ3:優先度をつける
↓
ステップ4:分析方法を設定する
↓
ステップ5:分析を実施する
↓
ステップ6:発見内容を統合する
↓
ステップ7:問題解決法を提言する
↓
ステップ1…
そして、最も重要になってくるのが最初の2つのステップです。
結局、何が本質的な問題なのかをしっかり見極める「課題設定」です。
これが上手くいけば、問題解決の50%は出来たことになるとされます。
逆に、最初の課題設定が悪いと、何をやっても問題の本質には迫らないのです。
◾️おわりに
コンサルの用いる問題解決の基本技は、意外なほど共通しています。
MECE(ミーシー)に分かる、ロジックツリーにする、「WHY?」を5回など、基本は全て同じと言われています。
そんな基本の技法が本書で紹介されています。
コンサルになりたい、コンサルを超えたいと思う人にはためになる本だと思います。