『負けグセ社員たちを「戦う集団」に変えるたった1つの方法』レビュー 90冊目:ビジネスNo.57
『負けグセ社員たちを「戦う集団」に変えるたった1つの方法』
著:田村潤
こんにちは、masamariです。
今回は、田村潤さんの『負けグセ社員たちを「戦う集団」に変えるたった1つの方法』をご紹介します。
◾️「PDCAクルクル教」の日本人
日本企業が羅患する形式主義の一例が、「PDCA至上主義」ではないか。
PDCAとは、「Plan(計画)→Do(実行)→ Check(評価)→Act(改善)」4つの段階を繰り返すことにより、業務を継続的に改善する方法のひとつである。
まず、業務の計画を作成する(Plan)。
その計画に沿って業務を行なう(Do)。
業務の遂行が計画に沿っているかどうかを評価する(Check)。
沿っていない部分があれば改善する(Act)。
一巡したら、次のPDCAへとつなげていく。
「PDCAサイクルをクルクル回す」という表現が多用されることから、「日本はPDCAクルクル教だ」と郷撤されたりもするようだ。
著者、PDCA的な管理手法に「どこかおかしい」と疑問を感じている一人である。
なぜかというと、PDCAサイクルには、もっとも重要なP(計画)をどのように生み出すかが示されていないからだ。
計画は、戦略と目標水準を含む。
したがって事業成否のカギは、このP(計画)が握っている。
日本企業はオーバー・プランニングの状態にあるが、多くの日本企業で行なわれているPDCAサイクルの実態は、次のようなものではないか。
経営トップや企画部門がマスタープラン(基本計画)を策定し、それがブレークダウンされて、数値ベースの計画が順次、指示の形で下りてくる。
組織のリーダーもその「指示」に従って計画を実行するしかない。
しかし、上から与えられた数値べ ースの計画からは、顧客にとっての新しい意味や価値は生まれない。
そのため、現場で顧客の支持は得られず、成果にはなかなか結びつかないのである。
しかも、指示が次々と下りてくるため、C(評価)やA(改善)する余裕もない。
それぞれの社員ができる範囲で指示を処理するため、D(実行)の質も低い。
自分でP(計画)を生み出すことできないので、事に対して傍観者的になる。
仕事がひとごとになってしまう。
これが多くの日本企業における「PDCA」の実態かもしれない。
◾️海兵隊に学ぶ意思決定プロセス
一方、「世界最強」といわれるアメリカ海兵隊では、「OODA(ウーダ)ループ」と呼ばれる意思決定プロセスを採用している。
野中先生の知識創造理論で、着目されている事例を紹介します。
OODA ループは「Observe(観察)→Orient(艦勢判断)→Decide(意思決定)→Act(行動)」の4段階からなる。
最初の観察(Observe)では、五感を駆使して現実をあるがままに感じとる。
五感が察知する知覚的な情報なので、言葉で表現する以前の直観として取り込まれる。
次の情勢判断(Orient)では、過去の経験知や身についた文化など、これまで自分のなかに蓄積されてきたさまざまな知と、観察によって新たに知覚した情報をもとに総合的に判断する。
そして、対応策を意思決定(Decide)し、行動(Act)に移す。
決して負けないことを求められるアメリカ海兵隊では、このOODAループを訓練と実戦を通じて、隊員一人ひとりにたたき込むのである。
PDCAサイクルの問題点は、計画の前段階として、観察(O)と情勢判断(O)にあたる部分がないこと。
つまり、PDCAには、計画を生み出すためのプロセスが入っていないのである。
結局、オーバー・プランニングの状況にある日本の企業で行なわれているPDCAは、経営トップや企画部門が立案した計画を、トップダウンで現場に対して効率的に遂行させるためのものでしかなく、その実態は「指示→実行」にとどまり、形式主義に陥っている。
◾️おわりに
PDCAについてはよく耳にしますし、本もたくさん出ているのをよく見かけます。
OODAについては名前は何となく聞いていましたが、どんな物なのかは理解出来ていませんでした。
これを機にOODAについて学んで行こうと思います。