『なぜ、ブロックチェーンなのか?』レビュー 97冊目:ビジネスNo.64

『なぜ、ブロックチェーンなのか?』
著:坪井大輔


こんにちは、masamariです。

今回は、坪井大輔さんの『なぜ、ブロックチェーンなのか?』をご紹介します。


◾️「四種の神器」とは

振り返ってここ10年ぐらいの間に、IT業界のキーワードになった言葉がいろいろある。
その中で、今現在のITを認識する上で欠かすことのできない4つをまとめて「四種の神器」と著者は命名した。
次の4つである。

①IoT
②クラウド
③ブロックチェーン
④AI

「IoT」はデータを取る技術である。
あとの3つについて短くいうと、IoTで取ったデータを置く場所が「クラウド」になる。
「ブロックチェーン」は、ここでは例え話として、置いたデータをタンスみたいなものに仕分けして入れて、かつ鍵をかけて管理するというふうにイメージする。
クラウドという雲の上にタンスを置き、仕分けして鍵をかけて誰も開けられない状態にするのがブロックチェーン。
そして、このデータを世の中に役立つように活用していくのが「AI」である。

4つともマスコミがこぞって取り上げたぐらいのバズワードだが、順番をいえば、最初に流行ったのがクラウド。
利便性から考えてもセキュリティから考えても、そこにあるハードディスクにデータを入れるよりも雲の上に置いた方がいい、という感じでクラウドの利用が急速に広がったのが10年ぐらい前のことである。

クラウドについては、普及から年月が過ぎ、ビジネスとしてはさすがにもう勝ち負けが決まった世界だと著者は見ている。
圧倒的に勝っているのがAWSというアマゾンのクラウドである。
クラウド業界はこれからどうなっていくか、というのはもう話題にならない。
AWS以外に選択肢があるとすれば、マイクロソフトか、IBMか、という範囲である。

クラウドの後でIoTが、製造業や物流業の文脈から話題になってくる。
センサー技術が、今までないデータをキャッチするようになってきた。
そして2016年ごろからAIが流行り始める。
この背景として、IoTが取った膨大なデータが、ビッグデータとしてクラウドに蓄積されたことがある。
実はAI技術というのは大学などで何十年と研究されてきて、それ自体は特に新しい分野ではないの
だが、ビッグデータを解析して社会の中で活用するための手段として急に再注目されるようになった。

ただたくさんデータを集めても、活用できなくては意味がない。
裏返していえば、データ分析はIT産業における重要なマネタイズの源泉ということになる。
そのキー技術がAIというわけである。
そして最後にブロックチェーンが出てきて、今のテクノロジーのキーワードがすべて揃う。
今後いろいろな産業で革新的なことが起こる舞台装置が整った。

おさらいすると、IoTでデータを取り、それをクラウドに保管する。
クラウド上のデータはブロックチェーンで仕分けしてセキュリティ対策を万全にし、そして必要なデータをAIによって活用していく。
「四種の神器」が出揃ったわけである。


◾️ブロックチェーンは「信用」をもたらす

本書は技術書ではなくビジネスパーソンに向けた本である。
技術というものは知的興奮に溢れていて、それ自体本当に素晴らしく、わくわくするものだが、ビジネスの文脈においては、ブロックチェーンが私たちに何を提供するのか確認しておく必要がある。
それは、信用です。

信用とは何か。
たとえば、 私たちがなぜ銀行にお金を預けるかというと、銀行を信用しているからである。
何も疑問を感じることなく信用している。
銀行だけではなく、国も同じである。
日本国という国を信用しているから、日本の国のルールに則っている。

この信用はこれまで、中央集権の構図から生まれていた。
確たる、全体をまとめてくれる何かがあって、それを信用する世界観。
これは人間社会がつくってきたものである。

それがここにきて、ITの技術が信用をつくろうとしている
確たる管理者のいない分散型ネットワークシステムが、人間社会における信用の新しい源泉になろうとしている。

システムが十分信用できるようになれば、さまざまな手間が不要になる。
今までのように信用している銀行に一回一回取引の承認を得る、ハンコを押す、正確かどうか確認してもらって手数料を取られる、ということもなくなるだろう。
お金の取引の話だけでなく、国レベルもそうだ。
日本国を出て、ある国に入るときにこの人が信用あるかないか窓口に並んで時間をかけてチェックされるとか、突き詰めればそういったことも不要になる。

人間が管理しないネットワークシステムが、人間の信頼を獲得する。
これこそブロックチェーンの革新的な面である。


◾️おわりに

ブロックチェーンについては、名前を知っている程度の認知度でした。
本書を読んで、完璧とは決して言えませんが、何となくどんな物なのかは理解出来るようになったかと思います。
ブロックチェーンとは何なのか?
これによってどう変わるのかを知りたい方は、是非読んでみてください。

なぜ、ブロックチェーンなのか?

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