『会社を潰さない社長の「金言」100』レビュー 103冊目:ビジネスNo.69
『会社を潰さない社長の「金言」100』
著:小山昇
こんにちは、masamariです。
今回は、小山昇さんの『会社を潰さない社長の「金言」100』をご紹介します。
◾️優秀な社長は、会社を潰さないために積極的に借金をする
現金は会社の血液である。
どんなに儲かっていても、現金がなければ給料も払えず、支払いもできない。
リーマン・ショックのあと、多くの老舗が黒字倒産した。
その原因は、無借金経営にあった。
売掛金や棚卸資産の増加で資金繰りが悪化し、現金が不足してしまった。
銀行から借りればいいのに、と思うかもしれない。
しかし、一度も借入れ実績のない会社が、急に融資を申し込んできたらどうか。
何か問題があるのではないかと、銀行は警戒する。
また金融機関にも資金の枠があるから、融資・返済の実績のある会社とない会社から融資を申し込まれたら、前者を優先するのは当たり前だ。
一般的に「借金はしないほうがいい」「無借金経営を続けている社長は優秀だ」と考えがちだが、まったくの誤解である。
優秀な社長は、会社を潰さないために積極的に借金をして、無借金にならないように心がける。
銀行から融資を受け、きちんと返済して実績をつくる。
それがいざというときに困らない「倒産しない仕組み」のひとつである。
増収増益の武蔵野が「必要のない借金」をしているのも、「いざというときの備え」である。
借金ができる「信用」そのものが財産になると著者は考えている。
◾️「率」ではなく「額」が企業経営を支えている
税理士や会計士の指導は、数字を「額(量)」ではなく「率」で見がち。
粗利益率20%で売上1億円のA事業と、粗利益率5%で売上10億円のB事業があると、数字を「率」で考える社長は、A事業のほうが優良だと考える。
A事業の原価は8000万円、B事業の原価は9億5000万円。B事業のほうが多額のお金がかかっているのに粗利益が低く、資金効率が悪いと考えるわけだ。
しかし、この見方が間違っていることは、利益額を計算すればすぐにわかる。
A事業が生む利益は2000万円、B事業は5000万円。
「額」で考えれば会社への貢献度はB事業が圧倒的である。
ここを理解していない社長は、A事業に有能な社員を投入して、会社の屋台骨を支えるB事業を台無しにしてしまう。
結果として、会社は傾く。
経営を支えるのは「率」ではなく「額」である。
税理士や会計士は「総資本利益率(ROA)」「自己資本利益率(ROE)」「自自己資本比率」「売上高営業利益率」「総資本回転率」など「率」によって会社を評価する。
しかし、これらの指標を理解しても経営の道具には使えない。
数字を「率」で見るクセがついてしまった社長は、基本の「+」「-」に立ち返るべきである。
◾️適切な投資をすれば、お金は大きな価値を生む
キャッシュは会社の生命線である。
だからといって、緊急支払能力を超える額のお金を使わずに貯めておくのは意味がない。
お金はそれ自体で価値を生まない。
お金は、「貯める」のではなく「回す」のが正解である。
つまり、投資をする。
具体的には、①お客様の数を増やす、②社員教育、③インフラ整備の3つに投資する。
そうすると、銀行に預けておくのとは比べものにならない大きな価値を生む。
武蔵野は、かつて1人あたり月平均76時間あった残業を、1台10万円のiPadの導入によって、2018年度は7時間にまで削減した。
月59時間の残業減で9時間分をランニングコスト(通信費)に回すと50時間。
時給1000円として1人6万2500円(1000x1.25×50)の人件費削減につながる。
iPadへの投資は、2カ月目で元が取れ、3カ月目以降はまるまる利益になる計算だ。
会社全体で見ると年2億250万円(社員約270人)の利益である。
一方、iPad代金10万円×270人の2700万円を銀行に預けても、金利0.001%で2万7000円だ。
お金を「回す」か、「貯める」か。
答えは言うまでもない。
7500万円を賞与に増額したら、社員は大喜びだった。
◾️おわりに
個人では借金はしないに越したことはないですが、企業になると話は変わってくる。
借金はしない方がいいと思うかもしれないが、いざという時のことを考えると日頃から借金をして、銀行との関係作りを大切にしないといけないようです。
会社を潰さないためのお金に関することを知りたい方は、読んでみてください。