『最高のリーダーは何もしない』読書レビュー 107冊目:ビジネスNo.72

『最高のリーダーは何もしない』
著:藤沢久美


こんにちは、読書好きのmasamariです。

今回は、藤沢久美さんの『最高のリーダーは何もしない』をご紹介します。


◾️従来のリーダシップは「遅すぎる」

21世紀にかけて急速に進んだ情報通信革命が、ビジネスのあり方を大きく変えた。
かつては、一定の枠組みの下で、ゆっくりと小さな改善をしながら仕事をしていれば、会社や組織は安泰だった。
むしろ、ルールやマニュアル からはみ出ようとするメンバーがいないか注意しながらチームを統率する、軍隊の隊長のようなリーダーシップが求められていたのだ。

しかし、いまではこうしたリーダーシップはうまく機能しない。
従来の「強いリーダーシップ」が機能不全に陥った原因は、大きく2つある。

1つは、消費者の価値観やニーズの多様化。
インターネットをはじめとした情報通信の発展によって、かつて知りようがなかった「小さな価値観・ニーズ」が顕在化し、それがダイレクトに企業や組織に伝わるようになった。

同時に、モノやサービスが充実したことで、量から質へ、「納得できる価値があるもの」へと人々の嗜好が移ってきた。
大量生産された商品や画一的なサービスでなく、精神的充足が得られる商品、特別感のあるサービスを求める傾向が強くなってきたのである。

もう1つは、変化のスピード。
各人の噌好が多様であるだけでなく、その嗜好自体が大変なスピードで移ろう。
「先週喜ばれたものが、今週には陳腐化してい る」ということも起こる時代になった。

こうした状況下で、リーダーが自社の商品・サービスのすべてを把握し、それぞれに対して意思決定をしていくのは不可能である。
また、現場がマニュアルだけに頼っていたり、個別のケースごとにリーダーの指示を仰いだりしていると、柔軟かつ素早い対応ができずに、お客様のニーズとのあいだにズレが生じることになる。

つまり、従来のトップダウン型リーダーシップだけでは「遅すぎる」のだ。
めまぐるしく移り変わる複雑なニーズに対応しくいくには、現場にいるメンバーたちが自律的に動き、個別に対応するほかありません。


◾️理想的なリーダーは「2つのスタイル」を併せ持つ

そして、それを実現するための最適解が、「働く目的」をメンバー全員に明確に伝えていくビジョン型リーダーシップだ。
これからのリーダーの仕事は、ビジョンをつくることであり、それをメンバーに浸透させることである。

だから、その先の具体的なアクションは、メンバー個人に委ねることになる。
現場に命令を出したり、メンバーの動きを細かく管理したりするといった「管理職的な口出し」は、もはや不要になりつつある。

しかし、経営者ならまだしも、現場のリーダーをしていると、現場が見えるがゆえに、細かな指示を出したくなるもの。
メンバーと同じ目線で動きすぎて、忙しくなってしまっているリーダーも散見される。
「命令や指示をしないなんて、現場のプレイングマネジャーには無理ですよ!」という反論も聞こえてきそうだが、そこは程度の問題である。
まったく指示をしないという選択肢はないかもしれないが、日ごろの指示を、一度冷静に見つめ直してみると、言わなくてもよかったことや、メンバーの自主性を阻害しているものが見えてくるはず。

リーダー(Leader)とは、「リード(Lead)する人」ですから、私たちはどうしても「みんなを力強く引っぱっていく役割」をイメージしがちである。
しかし、そうではないリードの仕方もある。
かつてのように、昇級・昇進やその他の信賞必罰によってメンバーの行動を制限していくのではなく、メンバーがワクワクして自ら動き出すような目的を提示し、現場に任せるのが新しいリーダーシップのかたちである。

もちろん、組織やチームが危機に直面し、メンバーが右往左往している局面では、全権を担って矢面に立ち、時には剛腕をふるって組織を守り、時には敵をつくりながらも力強くチームを牽引していく、そんなリーダーが求められる。
たとえば大災害のときには、強烈なリーダーがいて初めて多くの人の命が救われるということを、多くの日本人が実感したと思う。

つまり、カリスマ型リーダーを全否定し、ビジョン型リーダーだけを肯定したいわけではない。
「強いリーダーシップを発揮できる素地を持ちながらも、平時にはビジョン型に徹する」というように、状況に応じて両方のリーダーシップを使い分けられる人こそが、理想的なリーダーである。


◾️おわりに

「リーダー」と聞くと、先頭に立ってグイグイ引っ張っていくイメージがあるが、状況に応じて臨機応変に対応する力こそが、最高のリーダーに求められるようですね。
私自身も、まだまだ臨機応変に対応するということが苦手なので、この本で書かれていることを実践して、リーダーシップを発揮出来るようになれればと思います。

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