『最軽量のマネジメント』読書レビュー 114冊目:ビジネスNo.77

『最軽量のマネジメント』
著:山田理


こんにちは、読書好きのmasamariです。

今回は、山田理さんの『最軽量のマネジメント』をご紹介します。


◾️古びた理想を捨搭てることから始めよう

インターネット以前と以後で、人々の価値観と働き方は変わった。
しかし、マネジャーに求める理想像や「組織はこうあるべき」といったイメージだけが、変わらないまま。
最軽量のマネジメントを実践するために、まずはこの古びた理想を捨てることから始める。
サイボウズは6つの理想を捨て、同時に、マネジャーや組織に限りなく軽やかな姿勢を求めてきました。

①マネジャーは「地位」ではなく「役割」である
②モチベートに必要なのは「スキル」ではなく情報を公開する「覚悟」
③ 「自分が神」になる必要なんてない 「だれが何のプロか」知っておくだけでいい
④組織図は「ピラミッド型」から「キャンプファイア型」へ
⑤ 「100%の忠誠心」なんて求めない「100人100通りの距離感」を受け入れる
⑥目指すのは「ホワイトな企業」よりも「透明な企業」


◾️カリスマ的リーダーあきらめて、始めてみたのは「ザツダン(雑談)」だ

もう一度、会社を立て直そう。
そう決めて、著者が最初に取り組んだことは「全従業員と話す」ことだった。
Office事業部とガルーン事業部の対立から、組織編成の見直しをしたサイボウズは、いったん、この2チームを統合し、エージェント事業部」というひとつの組織にまとめることにした。
けれども、もとはと言えば社内でも指折りの仲の悪さ、水と油の2チームだった。
うまくいくはずもなく、だれもその取りまとめをやりたがらない。

当時、著者は管理部門の長を務めていたが、紛糾する経営会議の雰囲気がいたたまれず、つい手を挙げてしまった。
著者はそれまで、財務と人事と管理……と銀行員は経験してきたが、営業もマーケティングも、開発についても門外漢だった。
もし著者がカリスマリーダーになろうとしていたなら、営業と一緒にお客様のところへ行って、マーケティングの知識を身につけて、開発のことも理解して戦略を立てて……と現場に入っていっただろう。
しかし、著者は割り切った。
ある意味、諦めたのである。

自分がこれから時間をかけて何かを身につけるより任せてしまったほうが早い、と。
諦めたあと、どうなるか。
本当にやることがなくなるのだ。
やることといえば、揉めごとに対応することくらい。
毎日とは言わないが、当時はしょっちゅう、どこかでだれかがぶつかっていた。
そこで、著者は気がついたの。
「これ、事業部内のレポートライン(意思伝達経路)がどこかおかしいんじゃないか」と。

当時の組織の構成は、事業部長の著者がいて、部門長がいて、その下にマネジャーがいて、部署にょってはさらにその下にリーダーがいて、最後にそれぞれのメンバーがいるくらいの階層組織。
つまり、階層が深すぎて、レポートラインがほとんど機能していなかったのである。
著者が直接レポートを受けるのは部門長の数人からだけ。
著者の能力不足のせいも大いにあるが、これだけ階層が複数になると、レポートの粒度は粗くなり、現場が一気に見えなくなる。
何か問題が起きても、「みんなが疲弊していて」「みんなが反対していて」「みんなが……」こんな声しか聞こえてこない。
著者は「だれやねん、みんなって?」と思った。

疑問に思って聞いても、だいたい「AさんとBさんとあとそのあたりの何人か……」のような暖味さである。
一人ひとりが見えない。
これは問題だ。

そして、著者は気づいた。
「『みんな』がだれかわからないと『みんなが働きたいと思える会社』も、どんなものなのかわからない」と。
そこで著者は、「90人の社員全員と、雑談しよう」と決めた。

忙しい部長たちの手間は取らせず、メンバーの業務の邪魔にもできるだけならないよう、「月に1回30分だけ全員と雑談をさせてください」と、部長たちから承認をとり、おおよそ3か月間、全社員と話し続けた。
役職を持つ人とは、さらに頻度を高く、週に1回、期間も伸ばし、1年ほどやり続けた。

月の営業日が20日として、90で割ると1日4~5人。
時間にして4時間弱。
「来る日も来る日も「ザッダン」と称された予定で、著者のスケジュールが埋め尽くされる。
社外の人に「山田さん、今どんな仕事をされてるんですか?」と聞かれて、「雑談です」と大真面目に答えるくらい、全力投球していた。


◾️おわりに

以前に比べれば、本書のような新しい考え方の企業が増えてきていますが、まだまだ伝統的な考え方などを重要視する企業はたくさんあるでしょう。
新しいことを取り入れるのに抵抗があり、躊躇している企業が多いのではないでしょうか。
しかし、これからは新しいことを取り入れていかないと、生き残れない時代になってきています。
本書に出てくる「ザツダン(雑談)」も、何で仕事中に雑談なんてと思う人もいるかもしれないが、仕事を円滑に進めるためにはコミュニケーションが必要なので、雑談によるコミュニケーション向上も大切である。

私自身もまだまだ考え方が古いところがあるので、もっと新しい文化を取り入れていこうと思います。
管理する立場の方は、新しい文化を取り入れるための1つとして、本書を読んでみてはいかがでしょうか。

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