『データ分析できない社員はいらない』読書レビュー 128冊目:ビジネスNo.87

『データ分析できない社員はいらない』
著:石飛朋哉・平井明夫


こんにちは、読書好きのmasamariです。

今回は、石飛朋哉・平井明夫さんの『データ分析できない社員はいらない』をご紹介します。


業績を伸ばすための4つの視点

売上とコストという2つの視点からデータ分析

企業活動の目的は特殊なケースを除いて、利益をあげることが第一とされている。
この利益とは、一般に売上からコストを引いたものを指す。
企業が存続して成長していくためには、この利益が出ていることが大前提である。

利益 = 売上 - コスト

そして、利益を増やすためには、どのように売上を伸ばすのか、どのようにコストを下げるのかという2つの方向で改善策を模索することになる。

利益(↑)= 売上(↑) - コスト(↓)

なので、会社は「売上を増やすためのデータ分析」と「コストを減らすためのデータ分析」をやるべきだということになる。

例えば、営業部門において、どの商品の成長率が高いかを分析し、成長率の高い商品を重点的に販売促進していくといったような場合は、「売上を増やすためのデータ分析」となる。

また、経理部門において、総経費に占める割合が高い経費科目を分析し、重点的に予算削減の施策を考えていくといったような場合は、「コストを減らすためのデータ分析」となる。


在庫という視点からデータ分析

データ分析の目的には、売上を増やすため、コストを減らすためというわかりやすいもの以外にも「在庫を最適化する」といったより複雑な目的もある。

そもそも在庫とは何か。
一言でいうと、「需給のバランスをとるための緩衝材」ということになる。

ある"物"を欲しいという人がいる。
これが需要。
一方、"物"を生産し欲しい人に手渡す。
これが供給である。

例えば、ある商品が手元に届くまでに1ヶ月かかるとした場合、この商品が何であるかによって1ヶ月という期間が妥当である場合と、そうでない場合が出てくる。
仮に、商品が注文住宅だったとしたら、この期間は短いと感じる場合が多いかもしれない。
また、お客の希望どおりのオプションを装備した自家用車だったとしたら、「こんなものか」と思うかもしれない。
しかし、この商品が、今すぐ飲むためのドリンク、だったとしたら、この期間は到底あり得ないものとなり、商売が成り立たない。
このように、需要がありながら供給者側が準備を行なえず商売の機会を逸することを「機会損失」と言う。
この機会損失を防ぐために在庫というものが存在するのである。

ニーズの発生前に"物"が存在することで、入手までの時間が限りなく短くなり、商売も成立するというわけだ。
また、需要そのものを創造しているともいえる。

これらの例は「消費者 → 小売店」の例だが、次のような関係者間でも同じ需給関係が成り立ち、それぞれに在庫が存在することで円滑な供給が可能になる。

 ・小売店 → 卸売業者
 ・卸売業者 → 製品メーカー
 ・製品メーカー → 材料・部品メーカー
 ・(メーカー内の)後工程 → 前工程

十分な在庫を確保し、機会損失を防ぐこと(在庫の不足を防ぐこと)が在庫という視点からデータ分析を行なう大きな目的だが、在庫は多ければ多いほどいいというものでもない。
「在庫を過剰に持たない」ようにするためにデータ分析をすることも大切になる。

在庫を持つことには、お金にまつわる2つのリスクが伴うからである。
ひとつは、コストに関わるリスク。
在庫を保有するには、保管費用(倉庫費用や作業費用など)が必要となる。
また、商品の破損、劣化、陳腐化によって価値が下がったり、ときには廃棄しなければならないおそれもある。

そしてもうひとつのリスクは、資金繰りに関すること。
商品を保有するには、資金を使って製造、または仕入れをする。
ということは、投じた資金は在庫が売上に変わるまで眠っていることになる。
在庫が積み上がれば積み上がるほど資金の巡りが悪くなり、ほかの有望な案件や商品への投資ができずに売上の低迷にもつながりかねない。
万が一資金が不足し、支払いが滞るような事態に陥れば、倒産もあり得る。

したがって、必要以上に在庫を持たないことは、コストの低減と資金繰りの向上に貢献するのである。
在庫に関するデータ分析では、 「多すぎず少なすぎず、在庫量の落とし所を探る」というオペレーションが重要になる。


利益という視点からデータ分析

利益管理とは、どのくらいの利益を出す必要があるのかを設定し(計画)、実際にどのくらい利益が出ているかを評価し、目標とした利益を出すために必要な方策の立案と実施(統制)を行なう一連のプロセスである。



この利益管理が正しく行われないと、売上を増やすためのデータ分析の結果、売上は増えたがそれ以上に広告宣伝費が増えて利益が減った。
あるいは逆に、コストを減らすためのデータ分析の結果、広告宣伝費は減ったがそれ以上に売上が減って利益も減ったという結果を招きかねない。

つまり、すでに挙げた「売上を増やす」、「コストを減らす」、「在庫を最適化する」という3つが部分最適のためのデータ分析とするならば、 この「利益を管理する」は全体最適のためのデータ分析といえる。


◾️おわりに

データ分析と聞くと、仕事のイメージが強い人もいるかもしれませんが、日常生活の中でも活かせる部分は多くあると思います。
例えば家計については数字が出ているので、分析はしやすいのではないでしょうか。
データ分析をしてみたい・学びたいという方は、読んでみてください。

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