『1分で売る』読書レビュー 130冊目:ビジネスNo.89
『1分で売る』
著:堀口龍介
こんにちは、読書好きのmasamariです。
今回は、堀口龍介さんの『1分で売る』をご紹介します。
◾️「無料説明」は答えをもらうための最強ツール
これは、即決は当たり前という価値観を持つための技術である。
しかも、絶対的な価値観で「即決は正しい」と思うためのもの。
そもそも価値観とは何か。
価値観とは、その人の考え方の根本になるもの。
「何が正しくて、何が間違いなのか」「何が好きで、何が嫌いなのか」という、その人の判断基準である。
人の価値観はそれぞれ違う。
営業マンの価値観は「売ること」。
この「売ること」に対して、正しいことだと思う人もいれば、悪いことだと思う人もいる。
中には、自分が営業マンであるにもかかわらず、売ることに対して罪悪感や抵抗感を持っている人もいる。
営業マンが売ることに罪悪感や抵抗感といった価値観を持ってしまうと、その営業マンは売れなくなってしまう。
なぜなら、人は誰でも「自分は正しい」と思っていないことを強く言えないからである。
売ることが正しいと思っていない営業マンは、お客様のことを強く押せない。
「スタートしないと何も始まりません。どうかこの機会にご決断ください」という強い訴求ができないわけだ。
逆に、お客様はどうか。
お客様は「考えます」というセリフに、罪悪感は一切持っていない。
「考えます=当たり前」「考えます=正しいこと」など、「考えます」に100%の価値観を持っているわけだ。
このようなお客様の「考えます」100%の価値観に対して、営業マンの即決の価値観が80%だったり、90%だったりしたら、お客様の100%の価値観に負けてしまう。
お客様の「考えます」100%の価値観に負けないために、即決100%の絶対的な価値観を持って挑むわけである。
そもそも営業マンの仕事には、無料説明も含まれている。
「ダイエットしたい」「英語を覚えたい」といった何かしらの悩みがあるお客様に対して、その悩みの解決策を無料で提示することも仕事である。
なぜ見ず知らずの人の悩みを解決するために、わざわざ交通費を自腹で払ってまで会いに行くのか?
しかも無料で。
それは、「契約してもらいたい」と思っているからでしょう。
こんな当たり前のことは、お客様も話を聞く前からわかっているはず。
無料説明の前提は、「話を聞いて、もし良かったら契約してください。その代わり、無料で説明します」ということなのだ。
◾️「考えます」は通さず「自分の要求」を通す
もちろん話を聞いて、その商品が気に入らなければ、断ってもらってかまわない。
当然ながら、気に入らないものを買う必要はない。
ただ、営業マンも時間を使って、お金も使って、お客様に話をしているわけだから、話を聞いたからにはお客様も答えは出すべきだと、著者は断言している。
話を聞いて、気に入ったら契約する。
気に入らなかったら断る。
ただし、「考えます」は答えではない。
無料説明の前提は判断してもらうことなので、必ずお客様に答えを迫る。
買うか買わないかは、お客様が選択できることだ。
しかし、営業マンならば、「売ることは正しい」と思わないといけない。
売ることが正しいと思えないのであれば、営業マン失格である。
「私は法人営業なので、そもそも即決なんて取れないんです」と言う人もいるかもしれない。
確かに、法人営業の中には、即決契約が取りにくい業種もある。
ただ、どのような業種の営業マンであっても、要求があるはず。
相手に呑んでもらいたい要求である。
なぜ、お客様に会いに行くのか?
「自社の商品をショールームに見に来てください」「見積書を持っていかせてください」など、何かしらの要求があるからこそ、お客様に会いに行くわけだ。
その要求を通すことが、商談のゴールである。
法人営業の場合は、お客様に小さな要求を通しながら、そして小さな約束をもらいながら、最終的に契約に持ち込む。
1つひとつの要求を通せなければ、契約に持ち込むことはできない。
だから、法人営業の営業マンにおいても、あなたの要求をしっかりと決めてから、お客様に会いに行くようにする。
そして、会いに行ったからには、その要求を通す。
そこをしっかりと即決で通すこと。
そもそも営業とは交渉である。
営業マンの要求が通るのか、お客様の「考えます」が通るのか、だ。
著者は、このことをサッカーで例える。
サッカーですることは、2つだけ。
ボールを相手のゴールに入れること、そしてボールを自分のゴールに入れさせないこと。
サッカーの基本は、ただそれだけ。
営業マンである以上、お客様の「考えます」を通さない。
どれだけ理屈が通っていても、どれだけ強かったとしても、その「考えます」を通してはダメなのだ。
いかなる状況下においても、即決100%の絶対的価値観を持つ。
最後は、信念の強いほうが勝つのである。
◾️理不尽とは「己の未熟さ」の表れ
責任感を持っているか?
責任感を持って生きているか?
責任感の強い人は、基本的に、与えられた仕事を自分事と思っている。
「私がやらなきゃダメだ」「これは私の役割だ」など、自己責任意識を持って生きている。
こういう人は、基本的に成果が出やすい人である。
逆に、責任感の弱い人は、自分以外の誰かを常にアテにして生きている。
「私がやらなくても、他の誰かがやってくれる」「会社の売上が悪いのは、私のせいじゃない」など、自己責任意識を持っていない。
そういう人は、なかなか仕事の成果が上がらない。
責任感の弱い人は、仕事で成果が出せないだけでなく、自己責任意識と反対の意識を持っている。
これが、かなりたちが悪い。
この自己責任意識の反対側にある意識は、いったい何か。
それは、被害者意識である。
被害者意識を持っている人は、自分の売上が上がらないことや自分の失敗を他の人のせいにする。
「私は悪くない」「私が悪いのではなく、会社が悪いんだ」「ちゃんと指導してくれなかった上司が悪いんだ」「マーケットが悪い」「リストが悪い」「客が悪い」…。
すべて間違っている。
自分が悪い。
もし営業マンであるならば、被害者意識を持っていると、絶対に売上は上がらない、と断言できる。
著者は営業会社を経営して13年になる。
企業研修や即決営業のセミナーなどでも、いろいろな営業マンを見てきた。
その中で、著者が自信を持って言えるのは、売上が上がらないほとんどの営業マンは、その人が悪いということ。
その人が未熟なのである。
未熟な人は、仕事ができないばかりか、すぐに被害者意識を持つ。
理不尽とは、己の未熟さから来るものである。
◾️おわりに
どうしても相手の顔色を伺って、答えを迫ることをためらってしまうことはあるかと思います。
しかし、営業マンもただ説明をしに行っている訳ではないので、答えを迫る資格はあるでしょう。
お互いに対等な関係でなければ、良いビジネスとは言えませんからね。
本書では、そんな即決を得るための技術について紹介されています。
気になる方は読んでみてください。