『頭のいい説明は型で決まる』読書レビュー 135冊目:ビジネスNo.94
『頭のいい説明は型で決まる』
著:犬塚壮志
こんにちは、読書好きのmasamariです。
今回は、犬塚壮志さんの『頭のいい説明は型で決まる』をご紹介します。
◾️その人の学力と説明力は別次元のもの
著者が中学生や高校生の頃、テレビニュースを観ていて、「なんで、学者の人の話はこうもわかりにくいんだろう?この人、すごく頭いいはずなのに……」
よくそう思っていました。
しかし、いざ著者自身が予備校で教える立場になってみると、生徒に飽きられたり、寝られてしまったことは何度もあったとのこと。
もっとも始末が悪かったのは、講義に生徒が来なくなってしまったことである。
これを業界用語で「授業を切る」という。
塾や予備校の講師が生徒に授業を切られたらおしまいである。
この先生の講義を聴いても時間のムダだ」
そう思われてしまったのだ。
自分自身の知識レベルや理解度がある水準に達しているからといって、それだけで相手にしっかりわかってもらえる説明ができるというわけではないことを、著者はこの時に痛感した。
相手にしっかり理解してもらうための説明ができるというのは、自分の学力と別次元であるということをその経験から学んだのだ。
これは、とある予備校のベテラン講師から著者が聴いた話である。
その方が言うには、「自身の知識や理解度が未熟なときのほうが、生徒の気持ちがわかった」とか。
年齢を重ねていくうちにご自身の知識や理解度が増して、「逆に、生徒が何がわからないのかが、だんだんわからなくなってきた」と話されていた。
著者は、その先生の学力レベルには到達していないのだが、40歳直前になって、その感覚がなんとなくわかってきた。
要は、自分の知識や理解度が上がれば上がるほど、相手のレベルから遠ざかってしまい、より一層のレベルのギャップができてしまうのである。
ただ、自分の知識や理解度のレベルが上がっていくことは決して悪いことではなく、むしろ率先して行っていくべきであり、大切なのは、そこでできたギャップをどう埋めていくかだ。
その埋める方法が、本書でいう説明スキルなのである。
◾️わかってもらう説明に必要な 「たった1つのこと」
自分と相手の知識や理解度にギャップがある時、説明によって解消するための必要条件とは何か?
それは、1つしかない。
"理解の階段"と著者が呼んでいるものがある。
説明する人はその"理解の階段"をつくることが絶対に必要となる。
「風が吹けば桶屋が儲かる」という俗診がある。
これは、2つの物事の間の原因と結果を探っていくときによく喩えで使われる。
でも、このフレーズを一度も聞いたことがないという人は、「風が吹いたら、なんで桶屋が儲かるんだ?」ーそう思ってしまいまう。
つまり、「風が吹くこと」と「桶屋が儲かること」の"つながり"がまったく見えないのである。
これを次のように説明したらどうか。
【説明例】
「風が吹けば桶屋が儲かる」というのは、次の7つのステップで考えると、そのつながりがみえてくるんです。
Step1:風が吹くと土ばこりが立ちます
Step2:土ぼこりが目に入って、視力の悪い人が増えます
Step3:視力の悪い人は三味線を買います(当時、視力の悪い人が就ける職業に由来)
Step4:三味線に必要なネコの皮が必要になり、ネコの捕獲が行われます
Step5:ネコが減れば、ネズミが増えます
Step6:ネズミが増えれば、桶がかじられます
Step7:桶がこわれることで、桶の需要が増え、桶屋が儲かります
このように、「風が吹くこと」と「桶屋が儲かること」のあいだをいくつかのステップに刻んであげることで、そのつながりがみえてくる。
このような"つながり"をつくるテクニックが、"理解の階段"をつくる説明スキルの1つなのである。
また、"理解の階段"をつくる上で気をつけなければならないのが、その段差だ。
次の図にあるように、自分とその相手の間に知識や理解度に大きなギャップがあればあるほど、できるだけ1つあたりの段差を小さくする。
その分、段差をたくさん刻むのである。
逆に、この段差が大きく、その段数が少ないとき、相手はなかなか理解してくれないのだ。
◾️あなたの説明がわかってもらえない「3つの原因」
なぜ"理解の階段"がすぐにつくれないのか?
こちらがどんなに懸命に説明しても、相手にわかってもらえない時がある。
この原因については、著者が様々な文献を調べたり、同僚の予備校講師や知人の教員にインタビューを行ったりした結果、次の3つにたどり着いた。
原因1:相手が聴く態勢をとれていない
原因2:そもそも自分自身が内容をよく理解していない
原因3:相手のもっている知識を自分が把握していない
イメージは次の図のような感じである。
◾️おわりに
私自身まだまだ知識が足りず勉強の日々ですが、ただ知識をつければいいという訳ではないようですね。
知識の活かし方も学ばないと、せっかく身につけた知識も宝の持ち腐れになってしまいます。
学ぶ時にはその知識をどう活かしていくかも学んでいきます。
説明が苦手という方は、是非読んでみてください。