『最高の結果を出すKPIマネジメント』読書レビュー 137冊目:ビジネスNo.96
『最高の結果を出すKPIマネジメント』
著:中尾隆一郎
こんにちは、読書好きのmasamariです。
今回は、中尾隆一郎さんの『最高の結果を出すKPIマネジメント』をご紹介します。
◾️CSFは「最重要プロセス」
ゴールが何か、その数値目標はいくらなのか、確認して合意が得られると、CSFの出番である。
CSFはCritical Success Factorの略。
直訳すると「重要成功要因」。
事業成功のポイントを表している。
KGIを達成するためには、やらなければならないプロセスがたくさんある。
その中で、最も重要なプロセスのことである。
プロセスなので、結果であるゴールではなく事前に実施する内容のことだ。
例えば、営業組織であれば、売上というゴールの前に、その売上を上げるために行う顧客訪問や提案活動などのプロセスを指す。
つまりCSFをきちんと実行していれば、結果としてゴールにたどり着けるプロセスがCSFである。
また、プロセスなので、現場がコントロールできるものである必要がある。
現場の努力で変化するプロセスであることは必須。
そのプロセスの中で、最も重要なプロセスを1つ選択する。
それがCSFである。
◾️KPIはCSFを数値で表したもの
KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、CSFを数値で表現したものである。
つまり、最も重要なプロセスであるCSFをどの程度実施すれば、期末にKGIが達成できるのかを表す数値がKPIだ。
逆に表現すると、期末時点でKPIを達成していれば、結果としてKGIは達成できているといえる。
KPIは、KGIの先行指標で、(現場がコントロールできる)プロセス指標で、CSF(事業成功の鍵)の数値目標である。
◾️ダメダメKPIの作り方でありがちなこと
著者の講座ではKPIを作ったことがあるかを聞く。
自信ありそうに手を上げる人はいない。
自信があれば、著者の講座に出席する必要はない。
続いて、その手を上げてくれた人たちにさらに質問をする。
「うまく活用できていますか?」と聞くと、そのうち、半分弱の人は、やはり自信がないと回答する。
その活用できていない人たちの共通点は何か?
それは、KPIの作り方、つまり手順が間違っているのである。
間違った手順で作れば、当然うまくいかない。
この図には間違いポイントがたくさんある。
例えば、分かりやすいところでは、KPIマネジメントの主要登場人物「KGI」「CSF」「「KPI」のうち、登場するのが「KPI」だけ。
登場人物が不足しているので、うまくいかないのは当然だ。
しかも登場するのは、最後の最後で、「KPIは運用が大変なのに使えない」というところである。
KPIマネジメントがうまくいっていないと嘆いているケースの大半でみられる傾向だ。
最重要な数字に焦点を絞るKPIマネジメントと、いろいろな数値を管理するだけの数値マネジメントを混同している人も多い。
図の最初のステップ1「出せるデータを集めてみる」だけをして満足している人も少なくない。
「まず、現状把握してみよう!」というわけである。
この現状把握をしましょうという話だけで問題は限定的である。
しかし、実際にデータを見始めると、現状把握ですまないケースが多い。
ステップ2の「とりあえずこれを定期的に見る」、そしてステップ3「とりあえずやってみる」、ステップ4 「なんとなく目標を決めてみる」と「なんちゃってKPI」の決定まで一気に進んでしまうのである。
最終的に到達したいゴールにおけるKGIも確認していない。
当然、関係者でコンセンサスも得ていない。
さらに、このKGIを実現するために最も必要なステップであるCSFも確認していない。
にもかかわらず、CSFの数値目標であるKPIだけを決めてしまう。
この段階で、さらによくあるダメなケースがある。
1つめは、たくさんの数値目標を設定しているケース。
これでは、KPIのキー(Key)ではなく、単純に数値マネジメントである。
2つめのパターンは、現場でコントロールできない指標をKPIとして設定しているケース。
3つめは先行指標ではなく、遅行指標を選択しているケース。
◾️おわりに
間違えやすいポイントや上手く運用するための方法を、図解も交えてわかりやすく説明されています。
KPIを上手く運用したい人や学びたい人は、是非読んでみてください。