『労働2.0』読書レビュー 145冊目:ビジネスNo.103
『労働2.0』
著:中田敦彦
こんにちは、読書好きのmasamariです。
今回は、中田敦彦さんの『労働2.0』をご紹介します。
◾️やりたいことが通らない理由は準備不足
上の決定と自分の意思とのギャップに苦しむのは、「気概のある歯車」だからこそ。
そういう方はよく、「やりたいことが通らない」という不満を口にする。
商品企画が通らない、コスト削減案が通らない、業務効率化の案が通らないなど、内容は様々だろう。
そんな時、「上は頭が固すぎるんだよ」「現場の生の声をもっと聴けよ」なんて愚痴を言っても意味がない。
必要なのは、却下された理由を分析すること。
それもとことん細かく、縦密に。
例えば「上は頭が固い」の「上」とは、誰のことか?
「その企画はダメ」と言った直属の上司か?
それともさらに上の誰かか?
組織には必ず、決定を下す「人」がいる。
最終的にNOを言うのは「上」という漠然とした集団ではなく、1人である。
そのキーパーソンをまずつかむ。
次に、その人物がなぜダメだと言うのかを考える。
キーパーソンに直接聞けるなら聞いてもいいし、偉すぎる相手なら、その中間にいる人物にヒアリングして様子をつかむのもよい。
すると、「頭ごなしの却下」に見えたことの奥に、意外な理由があることがわかってくる。
例えば、「1人の意見を取り入れてしまうと、ほかの皆も声を上げ始めるのが面倒くさいから」。
くだらなく見えるが、けっこうよくあるケースである。
それならば対策は1つ。
「その人物の発案である」という形を取ればいいのである。
自分の意見を反映させたのではなく、トップダウンのプロジェクトなのだ、という体裁にするなら、相手が反対する理由はなくなる。
はたまた、その人物の思い入れとバッティングしているというケースもある。
上司に「経費削減案」を提案したとする。
しかし、「その経費削減案を通すと、長年懇意にしてきた業者との縁を切らなくてはいけないのが嫌だから」と反発されてしまう。
そこで、「何が何でも自分の案を通してやる」と意地を張ってしまうと、上司も頑なになる。
ここでは、「経費削減」という目的を果たすための、別の方法を考えるのが有効。
その業者を切らずに経費削減することはできないか、もしくは他の業者と懇意になってもらうことはできないか、という風に解決の道を探れるだろう。
このように、要素分解して原因を突き止め、クリアできる提案をし、交渉するのが王道である。
これなら、上司も意気に感じて、味方になってくれるはず。
著者もこの方法で、被雇用者の身でありながらやりたいことを通してきた。
自分でお金を出してグッズを作り、メンバーを集めて「RADIO FISH」というダンスボーカルグループを作り、ミュージックビデオを作り……。
本来なら禁止されるはずのことを著者が次々と実現してきたのは、「誰が、どの部分で嫌がっているのか」を突き止めて、交渉してきたからである。
◾️「ダメでした」で戻ってきてはいけない
著者から見ると、周りにいる若い人たちは、どうも諦めが良すぎるように思えるとのこと。
NOを言われた時に、「ダメでした〜」と言って帰ってくる若者が実に多い。
そこはもうちょっと粘ろうよ、と思ってしまう。
例えば収録時、著者は共演のタレントさんと一緒に動画を撮ってインスタグラムにアップする、ということをよく行うのだが、そんな時は事前に、若いスタッフさんに「先方に頼んでみてくれる?」と頼む。
「わかりました、聞いてきます!!」と、フットワーク軽く飛び出して行った彼は「なんかダメみたいっす!」と、これまたスピーディーにガッカリな答えを持ち帰ってくる。
しかも、理由を聞いてこない。
「なんでダメだって?」
「いや、ダメだそうです!」
これでは収穫ゼロだ。
そこで今度は、理由を聞いてきてもらう。
すると、「まだメイクしていないから」。
著作権や肖像権などの難しい話ではないのなら、そう高いハードルではない。
こちらとしては、"今日この方と一緒にいて楽しかったよ"という「告知」をしたいだけなのだから、「後ろ姿でもOKなので、どうでしょう?」と聞いてもらう。
これでもダメなことはある。
「後ろ姿でもダメだそうです、服もイケてないから…」
それでも、諦めてはいけない。
「じゃ、声だけならどうですか?」
その人が話しながら私を動画撮影してくれれば、楽しい雰囲気は十分に伝わるはずだ、というわけである。
ここまで交渉して、ようやくOKの返事をもらえる。
「なぜダメか」を最初に聞いてくれば、スタッフさんは、互いの楽屋を往復する数をもっと減らせたはず。
そのためには、「告知」というそもそもの目的を最初に把握すること。
次いで、それを達成できる方法は何通りもあると認識すること。
自分の希望であれ、人から頼まれたことであれ、この2つの意識を持ち、しっかり準備していれば、「ダメでした〜」は、いくらでも「OKでした!」に変えることができるのである。
◾️おわりに
これからは今までの働き方では生き残れなくなるかもしれません。
そんな人達のために、あっちゃんこと中田敦彦さんがこれからの働き方について紹介しています。
気になる方は是非読んでみてください。