『誰も教えてくれない考えるスキル』読書レビュー 148冊目:ビジネスNo.105
『誰も教えてくれない考えるスキル』
著:芝本秀徳
こんにちは、読書好きのmasamariです。
今回は、芝本秀徳さんの『誰も教えてくれない考えるスキル』をご紹介します。
◾️ちゃんと考えられない人の特徴
なぜ、ちゃんと考えられないのか?
よくあるタイプは、「刺激反応型」とか「脊髄反射型」といった言葉が適切かと思うが、脳ミソを通さずに、反射的に喋っているような人。
要は「場当たり的、無計画、論よりRun」だ。
「論よりRun」というのは、プログラマのアンチパターンとしてよく言われるのだが、「設計するよりもプログラムを走らせるほうが早いよね」というやり方をする人である。
ちゃんと考えずにとりあえず動かしてみようという人だ。
こういった人は早いようでいて、実は仕事が遅い。
手戻りが多いからだ。
プロジェクトでもそうだ。
「まずやってみよう」という人がいる。
「計画なんてその通りにならないものだから、まず始めてみることが大事だよ」ということである。
確かにそういう部分もある。
著者がよくいう言葉に「品質は設計を超えられない」というのがある。
例えば家を建てる際、設計書を作る。
設計を図にするわけだ。
図がないまま家を建てる人はいない。
家が建ったときの品質というのは、設計された品質である。
当然だ。
設計書はいまいちだったけれど、できた家は素晴らしいということはあり得ないわけである。
これを「品質は設計を超えることはない」と言っているのだ。
じゃあ、プロジェクトの設計書って何かというと、それは計画書である。
だから、計画をきちんと立てないで、プロジェクトがうまくいくことなんてはあり得ないわけだ。
例えばイベントを企画し、イベントの運営計画書を作ったとする。
その時に計画書の品質を超えてイベントが遂行することはない。
計画よりもうまくいったということはないわけである。
集客が上手くいったとか、イベントが盛り上がったというのはあるかもしれない。
けれどもその運営が計画よりも上手くいくということはあり得ないわけだ。
つまり、品質は、作る前に決まっているということである。
もう一つ、ちゃんと考えられない人の特徴として、「決められたことを決めた通りにやる」というのがある。
「言われていないのでやっていません」「指示にはありませんでした」もしくは「言われたから言われた通りにやりました」、ということを平気で言う人、さらには「言われた通りにやったのだから、評価してください」っていう人もいる。
途中で方向を修正しないといけなかったり、間違いに気づいたらやめるべきであったりしても、「いや、言われた通りにやりました」という人がいる。
何のためにやっているのか、その目的を掘り下げずに、言われた通りにやる。
ちゃんと考えられない人のわかりやすい特徴の一つである。
◾️見えるものに飛びついてはいけない
もう一つの特徴は、見えるものに飛びつくことである。
例えば、レストランを経営しようとしたとする。
この時、お客さんに早く料理を出そうとか、笑顔で出迎えようとか、席の配置を工夫しようとか、お店をきれいにしようというのは、一般にQSC(クオリティ・サービス・クレンリネス)といわれる話で、目に見える世界の話である。
でも経営となると、見えている世界の話だけでは済まない。
どうしたらお客様の支持を得られるだろうか、お客様にどのような価値を提供すればいいだろうか、どうやったらライバル店と差異化できるだろうか、自店の強みや特徴をどんな風にお客様に伝えればいいだろうかというような、見えない世界のことも考えないといけない。
ビジネスには見える世界と見えない世界がある。
別な言葉で言えば、具体的な世界と抽象的な世界がある。
ちゃんと考えられない人というのは、具体的な世界には比較的強い。
目に見えるから。
これはオペレーティブな世界、戦術的な世界である。
でも、ちゃんと考えられない人というのは、抽象的な世界、カタチのない世界には非常に弱い。
よく「戦術は見えるが、戦略は見えない」と言われるが、何をしているのかというアクション、オペレーションは具体的に目に見えるが、その背景にどのような戦略が隠れているかは見えないということである。
ちゃんと考えられない人は、抽象的な世界ではなく、具体的な世界にだけ目を向けてしまう。
考えるよりも先に動く。
取り組めることに飛びつくのである。
考えないで作業することに逃げる。
どうしたらいいかわからない時、目の前にある作業に飛びついてしまうような人である。
でも、ビジネスで大切なことの多くは見えないもの。
例えば「どうやって管理すればいいの?」「どうやって分析したらいいの?」「調査はどうするの?」「設計は?」「どんな価値を提供するの?」といったことである。
その他、戦略、計画、目標、ソリューション、サービス、マーケティング、プロジェクトといろいろある。
これらは全部、見えないものだ。
あるけれども、触れない。
つまり、カタチのないものであり、抽象的な世界だということである。
ホワイトカラーといわれる人たち、知識労働者といわれる人たち、そういう人たちは、考えることを仕事にしている。
その考えるべき対象とは、全部、カタチのないものだ。
言い換えると、カタチのないものを取り扱うこと、それが考えることなのである。
でも、カタチのないものを取り扱う「取り扱い説明書」はない。
会社では教えてくれないのだ。
なぜか。
持っていないからだ。
ほとんどの人が、そんなことは意識していないし、カタチのないものを取り扱うスキルも持っていないからである。
意識してない、持っていないものは、人に教えることはできない。
◾️おわりに
言われた通りにやったり、行き当たりばったりで適当に行動することは簡単でしょう。
私の周りに、自分で考えずに「とりあえず聞けばわかる」という人がいますが、その場は解決してもまた同じ質問をしてくる人がいます。
そんなことでは自分のためにならないですし、スキルも身につかないままだ。
「なぜ」など、自分で考えることで問題解決力などのスキルが向上するのです。
本書は、そんな考えるスキルを身につけるヒントが紹介されていますので、気になる方は是非読んでみてください。