『社畜もフリーもイヤな僕たちが目指す第三の働き方』読書レビュー 131冊目:ビジネスNo.90
『社畜もフリーもイヤな僕たちが目指す第三の働き方』
著:佐藤達郎
こんにちは、読書好きのmasamariです。
今回は、佐藤達郎さんの『社畜もフリーもイヤな僕たちが目指す第三の働き方』をご紹介します。
◾️このまま年を重ねて幸せになれるほど、現実は甘くない
このまま働き続け、いずれは納得できるときがくるのか。
著者の答えは「ノー」。
これが昔の組織であれば、あながち「ノー」とは言い切れない状況だった。
1980年代までの日本は、年功序列と終身雇用制が機能しており、大きな失敗さえしなければ、だれでも課長くらいにはなれたからである。
誰もが、それなりのやりがいと優越感を得ることができたといえる。
しかしこれは、高度経済成長、バブルに支えられた、一時的な企業の拡大によるものだった。
たとえば1000人の会社だとして、社長は1人しか要らない。
役員は5人、本部長は10人、部長は20人、課長は50人しか要らない。
これが以前は、好景気に支えられる形で会社が拡大を続け、課長の人数を500人に増やしたり、子会社をつくり、そこへ転籍する形で部長に収めたりすることができた。
しかし2000年代以降、その神話に終止符が打たれた。
国内市場が縮小し続け、それではと打って出た海外市場では、競争力を保持した諸外国企業との厳しい競争にさらされ、思うように伸びていけない。
このような状況では、企業が成長できないことにより、かなりの数の人が年を重ねても課長にすらなれない。
さらに、下からは新しい人材が押し寄せ、必要な一般社員の数も限られるので、図1の斜線部分に追いやられる。
そこはいわゆる "窓際族"。
給料を下げられ、やりたくもない仕事をしながら過ごしていくポジションである。
著者の知り合いのAさんがつぶやいた言葉で、「20年間の"敗戦処理生活"がはじまる」という言葉がある。
Aさんは大企業に勤める40歳で、役職は課長よりも下のポジション。
しかしその会社では、40歳で課長になれないと、その先部長以上になる目はなくなる。
要は、Aさんは会社から評価されていない。
この先60歳の定年まで、仕事がつまらなくなり、給料も下がっていくことは目に見えている。
それでもAさんは、会社を辞めるわけにはいかない。
たとえ給料が下がっていくとわかっていても、その大企業と同じだけの条件で転職できるメドは皆無だからである。
面白くもなんともない、状況が好転する見込みもまったくない、それでも生きていくために働かなければならない。
そんな今後20年を、Aさんは自虐的に"20年間の敗戦処理生活"と呼んだのだ。
幸福な終身雇用の神話が崩壊した現在、この話はだれにとっても他人事ではない。
そしてそれは、現在20代だとして十数年後、30代だとすれば数年後に起こり得る、決して遠くない未来の話である。
◾️「モジュール型ワーキング」という、第三の働き方
会社員、フリーランスといった職業形態に囚われない、そんな第三の働き方が、本書で提唱する「モジュール型ワーキング」。
働く内容と収入をいくつかの「モジュール(働き口)」に分けて、その「モジュール」の組み合わせで、職業人生を組み上げていく働き方である。
多くの人の現在の働き方は、単一モジュールで働いていると考えることができる。
「○○社の会社員」という単一モジュール、「フリーの△△」という単一モジュール。
しかし、単一モジュールでの働き方は、リスクが大きい。
鬱々と働くことになるリスク、充分な収入が得られないリスクなど、多くのリスクを抱えることになる。
そこで、単一モジュールでうまくいかないのであれば、いくつかのモジュールを組み合わせることで、自分に合った、自分が望む、自分が満足のいく、最適な働き方を模索しようと考えたわけである。
●会社員をやりながら、フリーのカメラマンとしても働き、カフェも経営する
●フリーでカメラマンをしながら、ライターやデザイナーもやる
というように、職業形態ではなく、「どのように仕事を組み合わせるか」が、この働き方のポイントとなる。
そして、「モジュール型ワーキング」のいちばんのポイントは、自分自身の働き方を自分自身でマネジメントする、ということ。
なるべく充分な収入も確保し、やりがいも持てるような働き方を目指す。
いわば、「自分自身を経営する」感覚である。
「モジュール型ワーキング」を実践し、自分の持っている「リソース、スキル、経験、希望、必要な収入」などを勘案して、自分自身が納得できる働き方で生きていく。
そうすれば少なくとも、働くことで驚々とすることはなくなり、人生そのものの後悔は少なくなるだろう。
◾️おわりに
昔と違って今は自由な働き方が認められてきました。
しかし、受け身の状態では自由な働き方など出来ません。
自由な働き方をするためには、「自分」という会社を経営(マネジメント)するイメージを持たなければいけません。
本書では、そんな「自分」をマネジメントするための方法が紹介されています。
自由な働き方を手に入れたいと考えている方は、読んでみてください。