『リクルートの すごい構”創”力』レビュー 26冊目:ビジネスNo.19
『リクルートのすごい構"想"力』
著:杉田浩章
こんにちは、masamariです。
今回は、杉田浩章さんの『リクルートのすごい構"想"力』をご紹介します。
◾️なぜ新規事業はうまくいかないのか
企業を悩ます「5つの症状」
①PDSサイクルの「P」に時間をかけすぎる
計画を練って、失敗のリスクを下げることも大切だが、成功には「数」と「スピード」が不可欠な新規事業においては、時間をかけ過ぎるのは弊害が大きい。
上手くいくかどうかはやってみないとわからないため、出来るだけ多くの種を巻くためにも、一刻も早く市場に出す必要がある。
PDSとは、P=計画(Plan)、D=実行(Do)、S=検証(See)のことです。
計画を練るのに時間をかけ過ぎると、スピードと数を犠牲にしてしまうため、失敗に繋がってしまいます。
②計画が変えられない
計画に時間をかけすぎると、最初に立てた計画を修正することなく、むやみに進め続けてしまうことももう一つの弊害です。
その結果、成功確率の高いより良い事業を作るよりも、計画を当初の計画通りに進めることを優先してしまいます。
また、少しの失敗等が発生しても、「これだけの人とお金と時間を掛けたから」と考えてしまい、途中では辞められなくなってしまうのです。
新規事業を進める上で、計画を柔軟に軌道修正できないことは、致命的になることがあります。
③時間をかけて計画を立てる割に、ツメが甘い
多くの企業は、どんな条件をクリアしたら次の段階に進むのか、明確に定義しないままで何となくで走り出しています。
そのため、赤字の額が大きくなったり、後から参入してきた競合他社に大きくシェアを奪われたりするなど、傷が深くならないと撤退の決断をすることが出来なくなってしまいます。
新規事業のアイデアは、まずビジネスプランに落とし込んで、そこからテストマーケティングなどの段階を経て事業化し、徐々に拡大していくのが定石なのですが、計画段階では「成功確率が高く見える計画を作ること」に時間をかけるため、ビジネスプランが全体的に甘いことが多いのです。
④当事者も、経営陣も本気でない
時間をかけて、「成功確率が高く見える計画作り」をしてしまう理由には、経営陣の本気度の低さがあります。
新規事業に不可欠な「数」も「スピード」も、結局経営陣の姿勢が足を引っ張ってしまうことになるのです。
また、新規事業を作ることを、「ギャンブル」のように捉えている経営陣があまりにも多い。
「クリエイティブな天才」が画期的な事業を考案して、勢いに乗って成長する「偶然」が重ならないと、新規事業などどうせ生まれないと、心のどこかで考えています。
こうした経営陣の姿勢が、新規事業に関わる社員の評価にそのまま反映され、社員にとっても評価されないのであれば、本気になれるはずがありません。
⑤うまくいかなかったとき、撤退の決断ができない
うまくいっていない時でも、それまで投資したことを考えてしまい、撤退して「損切り」する勇気が出ないことが多い。
また、新規事業責任者の事業への思い入れが強ければ強いほど、撤退することは辛く、「もう少し頑張れば…」と考えてしまい、なかなか諦められなくなるのです。
◾️おわりに
本書は新規事業を成功させるための方法が書かれていますが、新規事業に限らず、社内のプロジェクトや自分自身の活動にも活かせるのではないでしょうか?
私自身も、計画を立てることや下調べに時間をかけ過ぎてしまうところがあるので、この本に書かれているように、「数」と「スピード」を意識しようと思います。