『オックスフォード式 超一流の育て方』レビュー 83冊目:自己啓発No.21
『オックスフォード式 超一流の育て方』
著:岡田昭人
こんにちは、masamariです。
今回は、岡田昭人さんのを『オックスフォード式 超一流の育て方』ご紹介します。
◾️人と比べず自分自身と比べさせる
イギリスの社会学者ロナルド・ドーアは日本の教育や社会構造に関する著作のなかで、西洋の先進国と比較して、日本や韓国のようなアジアの国々では「学歴」が非常に重視される社会であると述べている。
子どもたちは幼少時代から受験に追われ、少しでも他者よりもよい成績をとることが求められるため、ストレスフルな生活環境に置かれている。
いつも他者と競い合うばかりでは、自分自身に対して「誰か相手がいないと努カしない、頑張ることができない」というメッセージを送り続けていることになる。
その結果、「自己研鏡」する機会が損なわれてしまう。
周りのことを気にしないで何かに没頭することは、学ぶことが楽しく、たとえ困難に直面してもすぐに別の方法を考えて挑戦する、というメッセージになり、心に深く届く。
オックスフォードの人々は、他の人たちとの競争の勝ち負けや、失敗か成功かという結果よりも、「人と差をつけるのでなく自分自身に差をつける」という意識を強く持っている。
もちろん、成績によって他者と差がつくことはある。
だが、日本のように成績や学歴がその人の人物評価として直接結びつき他者との優劣を意識させられるのではなく、常に自分をどう磨いていくかを冷静に見つめ、発展させていくような心を育てる教育がなされている。
他者との競争に勝つことによって得られる喜びでしか自信が持てない人は、本当の意味での「自信」を知らないまま生きていることを、彼らは知っているのである。
また逆説的にだが、相手よりも自分が勝っているという自信は、「過去の自分と現在の自分の間にみられる成長の発見」により強化される。
しかし、日本の子どもたちは「受験」や「習い事」など「誰か別の人(または親)」が作った「アリーナ(土俵)」の中でしか競争することができず、自分自身の「土俵」を作ることができていない。
実際に他者との競争に負けたときの辛さよりも、「負けるかもしれない」と感じる時の不安や恐怖の方が、実は子どもたちを苦しめているのである。
前述したドーアは経済協力開発機構(OECD)の教育調査団として来日し、日本の教育制度が過度な受験競争と学歴偏重を生んでいることを鋭く指摘し、改善の提言をしていた。
「自分の土俵」があって、そこで競い合う者が「自分自身」であるならば、人は余計な恐怖心を持つことなく、何事にもマイペースで取り組む習慣が身につくのである。
「実際に自分の「土俵」を作り、その中で「自分自身に差をつける」ことによってのみ、困難に対処し、乗り越える術を学ぶことができる。
自分の得意とする「土俵」が見つかるのが早ければ早いほど、人生の避けられない苦悩にうまく対処できるようになるのである。
◾️自分の「土俵」を見つけさせる
子どもが力を発揮し、他者よりも優位に立てる「自分の土俵」はどのように見つけ出し、そして作ることができるのか。
1週間、毎日15分ぐらい、子どもと一緒に何かに没頭した経験やその状況について話し合い、書き出してみる。
何をしたのか、心にどんな思いが生じたのか、その時どう感じたのかを聞き取り、ノートに記録しする。
それから少し時間をおいて、その体験が今どのような成長をもたらしたかを話し合う。
そして、その経験を価値のあるものと考えられるような、どんな良いことがあったかを探る。
このように、子どもが何に関心を持ち、どのように感じたのかを親身になって聞く習慣が、子どものやりたいことや、将来、適性のある職業の可能性を見出す契機につながるのである。
「自分自身に差をつける」ということは子どもが自分の得意とする「土俵」の中で、ひたすら努力を重ねることだ。
周囲と競争をする前に自分がどこで勝負をするかを見極め、そこで競い方や勝ちパターンを確立する。
最も実力を発揮できる分野を見つけ、有意義な競争をするためのパターンを身につけることによって、自分に自信を持ち続けていけるのである。
◾️おわりに
何かと比べるとなると、どうしても「他人」と比べてしまう人が私自身も含めて多いのではないでしょうか。
他人との勝ち負けと、自分自身の成長は全く別の話です。
仮に他人と比べて負けていたとしても、自分自身は成長していることもあります。
そういう意味でも、比べなければいけないのは「過去の自分」と「今の自分」なのですね。
これは子どもに対してだけでなく、自分にも言えることなので、比べる時は自分と比べる習慣をつけていきます。