『シンプルに考える』レビュー 88冊目:ビジネスNo.55

『シンプルに考える』
著:森川亮

こんにちは、masamariです。

今回は、森川亮さんの『シンプルに考える』をご紹介します。


◾️価値を生み出すことに集中する

会社は何のためにあるか?
著者の答えはシンプル。
世の中に価値を提供するためにある。
これがすべて。

もちろん、利益も大切。
利益が出なければ会社を存続させることはできない。
しかし、利益が出るか出ないかは結果論にすぎない。
価値を提供すれば、その結果として自然と利益はついてくる。
むしろ、利益をビジネスの目的にすると危ない。
どの企業でも儲けを優先し始めると、ユーザーはその変化に必ず気づく。
「あ、何かスイッチが入ったな」と。
対価に見合う価値を提供しているうちは、それでも支持してくれますが、儲けを優先していることがわかったら、ユーザーは一気に離れ始める。
インターネット業界でも、そうして衰退していった企業がたくさんある。

長く続くものとは、納得感をもってお金を払ってもらえるものである。
そのためには、利益よりも価値を生み出すことに集中すること。
とにかくユーザーの満足感を高めることに注力すべきである。
そして、ユーザーも企業も、双方が喜べるエコシステムのようなものをつくり出すことが重要なのだ。

お金よりも大切なのはである。
「世の中に価値を提供したい」「たくさん の人々に喜ばれる価値を生み出したい」。
そんなピュアな情熱をもつ優秀な人だけを集める。
経営は、彼らがその能力を最大限に発揮できる環境を守り続ける。
そして、「こんなサービスが実現できたら、みんな喜んでくれるはずだ」とワクワクしながら仕事をする。
このワクワクする気持ちが大切である。

もちろん、そのようなサービスを生み出すのは簡単なことではない。
身を削るような努力をしなければならない。
しかし、だからこそ、ユーザーも「あの会社のやることは、いつもワクワクさせられる」と思ってもらえるようなサービスを出し続けることができる。
それこそが、企業のブランディングであり、会社を永続させるもっともシンプルな原則である。

だから、著者はこう確信している。
ユーザーを愛する気持ち。
自分が携わる商品やサービスを愛する気持ち。
これが、ビジネスを成功させるためにいちばん大切なものなのだ、と。


◾️「勝ち負け」にこだわるのはダメたな人

率直に伝える企業文化ー。
著者は、これをいろんなところでお薦めしている。
すると、必ず質問されることがある。
「社内で衝突が増えてたいへんではないですか?」
もっともな質問である。
実際、率直にモノを言うようになった当初、社内ではしょっちゅう喧嘩が起きた。
社員はみな、それぞれ自分の「腕」に覚えがある者ばかり。
「そのやり方は違う」「こんなクオリティじゃダメだ」……。
そんな小競り合いが頻発した。

だけど、著者たちはそれを放置。
あえて、とりなそうとはしなかった。
なぜなら、お互い納得もしていないのに、なんとなく丸く収めることに意味があるとは思えなかったからである。

そのうち、著者は面白いことを発見しました。
優秀な人ほど喧嘩をしないのである。
彼らも人間。
カチンとくることを言われると腹を立てる。
だから、喧嘩になる。
だけど、すぐに気づく。
彼らは「いいもの」がつくりたいと思って働いているから、喧嘩している時間がもったいない。
そんなことに時間を使うのが、バカバカしいことに気づくのである。

そして、喧嘩をやめて議論を始める。
どちらの意見がユーザーのためになるか?
判断基準はこの一点。
自分の意見と相手の意見をぶつけ合い、より説得力のあるほうを受け入れる。
あるいは、両者の意見を戦わせることで、よりよいアイデアを生み出す。
そして、自分が納得する結論を得たら、その結論をもとに全力を尽くす。
そんな、建設的な議論を始めるのである。

一方で、いつまでも喧嘩を続ける人もいる。
「勝敗」がつくまで一歩も譲らない。
「自分が正しい」ということを相手が認めるまで、喧嘩を続けるのである。

なぜ、そうなるのか?
著者は、じっと観察し、わかったのです。
要するに、彼らは自分のために戦っている。
「自分の正しさ」を守るために、相手を攻撃してやまないのだ。
決して、ューザーのために戦っているわけではない。
結局のところ、彼らは「いいもの」をつくりたいとは思っていない、ということ。
もっと言えば、自分のために働いているのである

だから、優秀な人たちは、「自分の正しさ」に固執する人を相手にしなくなる。
「いいもの」をつくりたいと思っていない人といくらぶっかり合っても、そこに生まれるのはつまらない「勝ち負け」だけ。
何も価値あるものが生まれないからである。
そして、「いいもの」をつくりたい者だけが集まって、優れたプロダクトをつくり出すようになるのだ。
こうして、社内で自然淘汰が始まった。
喧嘩をする人は、自分のために働くのをやめるか会社を去るか。
自然とその選択を迫られるようになったのである。


◾️おわりに

私自身、勝ち負けにこだわってしまうことはあります。
自分のことばかり考えている証拠ですね。
「いいもの」を作りたいとか、どの選択が相手のためになるかを考える習慣をつけていこうと思います。

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