『知識を操る超読書術』読書レビュー 117冊目:自己啓発No.27
『知識を操る超読書術』
著:DaiGo
こんにちは、読書好きのmasamariです。
今回は、DaiGoさんの『知識を操る超読書術』をご紹介します。
◾️50倍の生産性が手に入る読書の「サイクル」とは
日本の社会人の平均読書数は月に3冊弱。
本書を読み、紹介された手法を実践し、習慣化することで、誰でも常人と比べ、50倍以上の知的生産性を身につけることができる。
DaiGoさんが実践している「読み方」を分解すると、次のような 「サイクル」になる。
結論から言うと、本から得た知識をアウトプットできるかどうかは、1つ目の「本を読む準備」をしているかどうかで7割決まる。
なぜなら、ほとんどの人が本を読むのに準備が必要だということを知らないからだ。
たとえば、なんとなく本を手に取り、最初から読むものだと思ってページをめくり、進めていく人と、「なぜ、自分はこの本を読もうと思ったのか」「その本からどんな知識を得たいと考えているのか」という目的を明確にしている人とでは、読書体験が異なる。
「そんなこと当たり前だ」と思うかもしれないが、それを実践しているか、実践していないかでは、「差」が生じる。
大切なのは、このサイクルを知り、本の読み方·使い方を行動に移すことである。
それを継続していけば、人生を大きく変える1冊に出会う確率が劇的に上がる。
◾️世界最先端の研究でも、速読は否定
速読の効果はさまざまな大学の研究者たちにも検証されている。
日頃から読む量を求められる研究者も、一度は「1冊1分で読めるなら……」という希望を抱いたことがあるだろう。
しかし、導き出された結果は期待を裏切るものだった。
2016年にカリフォルニア大学の研究チームが過去145の研究データから「速読は可能なのか?」を調べ、次のような結論を出している。
・読むスピードを上げると、読んだ気になるだけで内容の理解度はむしろ下がる(理解とスピードはトレードオフの関係にある)
・読書のスピードと時間を決める要素の中で、目の動きや周辺視野が占めるのは10%以下しかない
つまり、テキストを写真のように眺める手法にはほぼ効果が認められず、速く読むことに特化した読書法では本の内
容のほとんどが頭に残らないというわけである。
以前、速読協会が主催する速読選手権のチャンピオンが『ハリー・ポーと賢者の石』を47分で読んだというニュースがあった。
チャンピオンは本の感想を求められ、「これはページをめくる手が本当に止まらない素晴らしい一冊だ。最高に楽しかった。子どもたちには大人気ですし、子どもが好きそうなシーンもたくさんあります。でも、ちょっと悲しいシーンもありますね」とまとめていたそうです。
要するにテクニックとしての速読は、単なる飛ばし読みに過ぎない。
得られるものは、「読んだ気分」だ。
速読チャンピオンも、47分間で分厚いハリー・ポッターの本を読んだという満足感には浸っているが、内容はほとんどつかめていない。
だから、キャラクターの名前にも物語の山場にも触れることのない感想しか出てこないのである。
「読むスピードを上げると、理解度は下がる」。
別の見方をするとこれは、「速く読める本は、内容が簡単である」ことを意味する。
読書は本来、自分がまだ知らない世界や考え方に触れるための行動のはず。
簡単、つまりあまりためにならない、すでに知っていることが書いてある本なら誰でも速く読めるだろう。
しかし、そんな本は「ハズレ」とも言えまる。
反対に、丸一日かけても読み切れない、1日10ページぐらいしか進まないような本こそ、丸ごと読み切るとカになる。
読む速さと得るものは、トレードオフの関係にある、ということを認識したほうがいいのではないか。
本をただ速く読むことに意味はない。
◾️読む速さよりも大切な読書スキルとは?
もう1つ読む速さにまつわるショッキングな事実がある。
それは、読書スピードには「生まれ持った遺伝子」が大きく関わっているという研究結果である。
2010年にオハイオ州立大学が一卵性双生児と二卵性双生児を対象に、本を読む力と遺伝子の関係を調査したところ「文章を読むスピードに関しては4分の3が遺伝で決まる」という結果が出たのだ。
つまり、私たちの身の回りにまれに存在する「飛び抜けて読むのが速いうえに理解度も落ちない人たち」は、本を読む能力に関する優れた遺伝子をもともと持っているということ。
これは、なかなかの残酷な真実である。
では、そうではない私たちは「本を速く読み、理解すること」を断念するしかないのか?
まだ諦めてはいけない。
生まれつきの才能がなくても実践できて、本を読む力を確実に高めてくれるテクニックはある。
そのテクニックが「スキミング=拾い読み」だ。
速く読むのが不可能なら、読むべき箇所を減らせばいいのである。
速読の可能性をレビューしたカリフォルニア大学の研究チームは、こうも指摘している。
「内容を十分に理解しながら読むスピードを確実に速くする唯一の方法は、オールドファッションな練習しかない。すなわち、大量の言葉に触れれば触れるほど、文章を処理する能力は速くなっていく。種類が異なるさまざまな文章を読みこなす訓練をすることで、私たちはいろいろなタイプの言葉に馴染みが生まれる。その結果、テキストの認知処理スピードが高まっていく」
端的に言うと、「ひたすら読むしかないよ」というアドバイスだ。
「それができれば悩まない」「1冊、読み切ることができなくて困っているのに、ひたすら読めと言われても…」と、この研究チームのアドバイスに対して、心の中でツッコミを入れたのではないか。
その通りだ。
多くの人は「ひたすら読む」という領域まで到達しないことに悩んでいるのだから。
そこで、オススメしたいのがスキミングである。
これは科学的に正しい「速読」になる。
速く読むメリットは、その本が読むべき本なのか、読むに値する本なのかどうかを見分けられること。
パッと見て、知りたいことが書かれているからじっくり読んだほうがいいな、すでに知っている内容だからサッと目を通すだけで十分だ、これは目を通す価値すらない……。
そうやって「選ぶ力」が身につけば大幅な時間短縮が実現できます。
◾️おわりに
速読はあまり意味がないというのは、本をもっと早く読みたいと思っていた私としては衝撃的でした。
ただ、スキミングは私も何気にやっていたかもしれません。
「この本は今の自分には読む価値がないな」と軽く読み流したりしていましたが、そこで「しっかり読まなくちゃ」と真面目に読んでいたら、時間を無駄にしていたかもしれません。
効率的に読みたいという方は、是非読んでみてください。